近年、道路交通法や道路運送車両法の枠組みが見直され、令和5年7月には、「特定小型原動機付自転車」という新たな区分が創設されました。これにより、一定の要件を満たす電動キックボードは、16歳以上であれば免許不要で運転可能となり、歩道通行モードを搭載したモデルでは歩道走行も認められるようになっています。
以下の表では、従来から存在したものを含む各種の交通手段について、法的なルールを整理しています。
分類 | 免許 | 登録・ナンバー | 保険 | 走行場所 | 速度規制 | ヘルメット | 備考 |
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自転車 | 不要 | 不要 | 任意 個人賠償責任保険など | 車道・歩道・自転車道 | 徐行義務 明確な速度制限なし。 | 努力義務 (年齢、条例によって差異あり) | 一部自治体で保険義務あり。 |
電動キックボード(LUUP等) | 不要(16歳以上) | 必要 | 強制 自賠責保険 | 車道・自転車道・一部歩道(条件付) | 最大20km/h | 努力義務 | 歩道は6km/hモード+識別灯点滅時のみ。 |
原付(原動機付自転車1種) | 必要(原付免許以上) | 必要 | 強制 自賠責保険 | 車道のみ | 30km/h | 着用義務 | 二段階右折や通行区分あり。 |
モペット(原付扱い) | 同上 | 同上 | 同上 | 同上 | 同上 | 同上 | ペダル付き原付など。分類や輸入車に注意。 |
ミニカー(青ナンバー) | 必要(普通免許以上) | 必要 | 強制 自賠責保険 | 車道のみ | 60km/h | 不要(義務なし) | 三輪以上かつ輪距50cm以上の改造トライクも該当。高速道路不可。 |
(補足) 自転車運転についての罰則強化
自転車運転に対する規制は一層厳格化されています。
特に令和6年の道路交通法改正により、自転車の飲酒運転に対しても明確な刑事罰が導入されました。これまで曖昧だった点が整理されたことで、酒気帯び・酒酔い状態での自転車運転も、刑法上の「犯罪行為」として処理されることになります。具体的には、アルコールの影響で正常な運転ができない酒酔い運転に該当した場合、最大で懲役5年または罰金100万円が科される可能性があります。
また、従前は処罰対象ではなかった酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコールが0.15ミリグラム以上)についても、令和6年11月施行の改正道路交通法によって、懲役3年または罰金50万円という厳しい罰則が定められました。
さらに、自転車には免許制度が存在しないこともあり、令和7年7月現在では、免許取消等の行政処分の対象ではありません。しかし、道路交通法のさらなる改正により、令和8年4月1日からは、113種類の交通違反について反則金(青切符)の対象となることが決定しました。主要な反則金額は、スマートフォンの「ながら運転」が1万20000円、信号無視が6000円、逆走などの通行区分違反が6000円などとなっており、注意が必要です。